お飾りにしか⋅⋅⋅なれない

···再会


「LA・fonte」のオープン

テープカットに
車椅子の紗雪
史織と卓がカットを行った。

回りから割れんばかりの
拍手を頂き
紗雪は、感無量だった。

全て、史織と安藤先生のお陰だ。
安藤先生には、テープカットに
参加して欲しいとお願いしたが
丁重にお断りをされた。

先生には、沢山の人が
待っている。
治療をするのが、私の仕事ですからと。

まだ、お会いしたことはないが
電話と手紙のやり取りは
何度か。

「LA・fonte」に勤める
社員の皆さんには
オープン前にお礼と挨拶をし
無知で何も出来ないと
思いますが、宜しくお願い致します。
と、伝えると
皆さんは、笑顔と拍手で
私を迎えいれてくれた。

テープカットが終了し
社長の私から一言だけ
挨拶をする。

史織が私の車椅子を
押してくれて
少しだけ高い段の上に上がる。

史織は、マイクを私に
渡そうとしてくれたから
それを手で止め
車椅子からそっと立つ
リハビリの先生と必死に
練習をした。
史織や社員の方々の今までの
大変さや苦労に比べたら
まったく伴っていないが
力を込めて立ち上がり
一歩だけ前に出る

そこでマイクを史織から
受け取り
その場にいる皆様を見て
頭を下げ
「皆様にとって
この「LA・fonte」が
憩いの場、待ち合わせの場
思い出に残る場となり
何度も足を運んで頂ける場所と
なって行く事を心から願っています。
本日は、どうぞ、ごゆっくり
お過ごしください。」
と、頭を再度下げると
拍手が大きくわいた。

紗雪は、再度頭を深く下げて
顔を上げた時に
フラっとした。
史織は、車椅子の方に向いていて
気づいてなかった。

紗雪が回避しようと⋅⋅⋅⋅⋅⋅
腰に回る手に助けられた。

「紗雪様っ!!」
と、叫ぶ史織と腰がぐっと
引き寄せられるのが
一緒になった。

私は、そのまま車椅子に
座らせられた
「あっ、ありがとうございます。」
と、車椅子に座りながら
頭を下げると
「安藤先生っ!!」
と、言う史織に驚いて顔をあげると
きれいな顔の男性が私を見た。
その男性は、
「目が覚めて良かった。」
と、私の頭をそっと撫でた。

今日は、ドレス様にセット
されているので、そっと。

ああ、この手を知っている
毎日、私の頭を撫でてくれていた
手だ。

「毎日、頭を撫でてくれましたね。」
と、言うと
安藤先生?は、ビックリされた顔をして
「⋅⋅⋅えっ、知っていた?
    いや、そんな⋅⋅⋅⋅⋅あり得ない⋅⋅⋅」
と、言われたから
「はい。なんとか。」
と、答えると
「紗雪様は、私が話していた事も
全てきかれていたのです。
愚痴も、こめてですけどね。」
と、史織が言うと
「手の感覚や話した内容も?」
と、安藤先生
「優しい感覚が⋅⋅⋅
でも、少しするとなくなりました。
史織は、色々な事を
話してくれていましたが。」
「アメリカに戻ったからだ。」
「そうなのですね。
でも、ありがとうございました。
すごく温かな気持ちになりました。」
と、頭を下げる紗雪に
悠希は、不思議な感覚を
ぬぐえなかった。

三人で少し話してる間に
回りから色々な声が聞こえた。

すっご~い⋅⋅⋅
きれい⋅⋅⋅
広い⋅⋅⋅
可愛⋅⋅⋅等々⋅⋅⋅⋅⋅

紗雪と史織は、別々に館内を回る。

紗雪の車椅子は、秘書の三輪が
押してくれた。

悠希は、父・卓と話をするらしい。

安藤先生は、忙しい中
オープンのお祝いに来日して
くれたらしい。

お昼にみんなでランチをする
ことにして
各々仕事についた。
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