お飾りにしか⋅⋅⋅なれない

···食事


安藤先生は、
翌日朝倉教授との用事が
済むと「LA・fonte」に
来てくれた。

今日は、一般のお客様の招待

沢山の方がみえた。
この2日は、社員が疲れないように
振り分けられていた。
明日からが本番だ。

「LA・fonte」は、
お客様からも社員からも
愛されたいと願い
月曜日を休業日とする。

お子さんがいる方は
土日に毎回ではないが
お休みに入れるように
お願いをしている
週休2日になるように。

もちろん、私や史織も
月曜日は、休ませてもらう。
日頃から、館内や外回りの掃除は
業者にお願いをしているから
きれいだが

みんなにもゆっくりする
日を設けて欲しいから。

土曜日、日曜日と
安藤先生とみんなでランチを取り

日曜日の夜は、
安藤先生と二人で食事に出掛けた。

史織にも、父にも
一緒に、と伝えたが
たまには、男性と二人で
なんて、冷やかされた。

まったく、安藤先生に
失礼よ。と二人に言うと
笑われてしまった。

安藤先生は、タクシーで
迎えに来てくれて
車椅子なしで
私を抱き上げて
タクシーに乗せてくれた。
「ゆっくりなら⋅⋅⋅
少しなら⋅⋅⋅、歩けます。」
と、言う
笑いながら、
「役得だから、勘弁して」
と、言われてしまい。

吹き出してしまった。

二人で食事をする。
個室でゆっくりできる場所で
料理も美味しい。
食欲もでて
表情も豊かになっている
紗雪の姿に悠希は
心から良かった、と
思っていた。

これからは、しばらく日本へは
帰らないつもりでいる。
仕事の忙しさもある。
それに、日本には良い思い出がない。
そんな俺に
「先生のかわりと言っては
失礼ですが、先生のお母様の
お墓は、私に任せて頂けませんか?
救って頂いた先生に
何かお返しができればと
思っています。」
と、言われて
「ありがとう。
負担にならないように
お願いをしたい。
たまにで、良いから花をあげて
くれたら。」
と、言うから
「わかりました。」
と、嬉しそうに微笑む
紗雪に見惚れてしまった。
「ん?先生?」
と、言われて
「いやっ、なんでも。
あっと、その先生を止めてほしいな。
名前で呼んで欲しい。」
と、伝えると
「えっ。では、安藤さん?」
「いやいや、下の名前で。」
「⋅⋅⋅⋅⋅悠希⋅⋅⋅さん?」
「どうして、疑問系?」
と、安藤先生、いや、悠希さんに
笑われてしまって
「そんなに笑わなくても」
と、言うと
「ごめん、ごめん。」
と、楽しそうに。

男性に免疫ない。
バツイチだけど
あの人とは、手をつなぐことさえ
なかったのだから。

その日は、食事をしてから
悠希さんに送ってもらった。

「明日、お見送りを」
と、言ったが
「帰りが心配になるし
無理は良くないから」
と、言われた。
少しがっかりしていると
「紗雪さんが、一人で歩けて
身体も元気になったら
俺に会いにアメリカに
来て欲しい。」
と、言われて
えっ、と思ったが
「はい。必ず。」
と、言うと
悠希さんは、笑いながら
頭を撫でてくれた。
私達は、連絡先を交換してから
帰宅をした。

悠希さんは、仕事がら
すぐに連絡できなくても
後から必ず連絡するから
なんでも、連絡するように
言ってくれた。

どこまでも、優しい悠希さん。
沢山心配かけたんだなぁ
と、紗雪は改めて思った。
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