僕が愛した歌姫
就寝時間
病院の消灯時間って妙に早いと思わない?


まだまだ起きてられるっつぅの。


ちなみに、ここは10時に電気が消える。


「うわ、真っ暗」


本を読んでいた俺はそう呟き、枕元についている小さな電気をつけた。


ついさっき消灯の音楽が流れた所だったけど、しつこく読み続けていた結果だ
けれど……ここは大部屋。


俺のベッドから明かりが漏れているかもしれないと思うと、なんだか申し訳なくて長く本を開いていることができない。


だってさ、なんかわかんねぇけどここの病室みんな年寄りなんだよね。


年寄りが大怪我するようなことすんなよっ!


って言いたいけど、もちろん言えない。


怪我の理由なんて人それぞれ。


「つか、暇だぁ~」


読書を諦めた俺は小さく呟く。
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