幼馴染 × 社長 × スパダリ
幸せへの誓い
-------ブルック賞の授賞式から半年後。
大きな鏡のまわりに、沢山のライトがキラキラと照らしている。
私の右側には、メイクアップの女性が、大きな筆でパウダーをつけてくれている。
後ろに立つ女性は、クルクルと手際よく髪を巻いている。
今日は、涼ちゃんと私の結婚式だ。
こんなに沢山の方々に、ヘアやメイクアップをしてもらうのは、七五三以来かも知れない。
「…仕上がりましたよ。とてもお綺麗です。」
プリンセスラインの広がったドレスの裾を整えながら、女性はニコリと微笑んだ。
私を鏡の前に連れて行く。
「…スゴイです!自分じゃないみたいです!」
プロのメイクアップは、こんなにも凄いのかと自分でも驚いた。
まるで、シンデレラになって魔法が、掛かってしまったのだろうかと思ってしまう。
そこへ、現れたのは、妹の彩と涼ちゃんのお母さんだ。
彩は、目を大きくしながら驚いている。
「お姉ちゃん、綺麗!びっくりしたよ!」
涼ちゃんのお母さんは、少し涙ぐんでいるように見える。
「萌絵ちゃん、きっと天国のお父さんとお母さんが喜んでいるわよ…とても綺麗だわ。」
ここは、涼ちゃんが設計した、丘の上のホテルと教会だ。
初めてこの建物を見た時は、コロボックルのお城のようだと思ったところだ。
教会の入り口に移動すると、タキシードに着替えた涼ちゃんがいた。
薄いグレーのタキシードを着た涼ちゃんは、いつも以上に素敵だ。
心臓がドクンと大きく鳴り、顔が赤くなってしまう。
「萌絵、とても綺麗だ…無理な話だけど…誰にも見せたくないな…」
涼ちゃんが、先に教会に入ると、女性たちからキャーという黄色い声が聞こえた。
タキシード姿の涼ちゃんは確かにカッコいい。
そして、式は粛々と進み、誓いの言葉をお互いに告げる。
不思議なもので、神様に誓う事で、本当の夫婦になった実感が湧いてくる。