天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
7、先生に告白されて
「やっと着いたな」
タクシーを降りて今日宿泊するホテルを見上げる氷室先生。
その横で小鳥遊先生がフッと笑った。
「ああ、今回はなかなか良さそうなホテルだな」
今、氷室先生、小鳥遊先生、それに私の三人は学会に参加するために岡山にやってきた。
今日泊まるホテルは学会の会場にもなっていて、森の中にひっそりとある要塞のような建物。
五メートルほどの壁は全面蔦で覆われていて、レンガ造りの中の建物は昔の工場だったこともあり歴史を感じる。
「なんで私が同行するんだろう」
スーツケースを持ち、盛大な溜め息をつく私。
院長や久我部長からは氷室先生と小鳥遊先生の秘書として同行してと言われたけれど、私ができる仕事なんてなにもない。
『なんの役にも立ちませんよ』と院長たちに訴えたが、無駄だった。
『茉莉花ちゃんがいてくれるだけで氷室先生やる気出るから。今回の学会、うちの病院の威信もかかってるからね。頼んだよ、茉莉花ちゃん』
院長はにこやかな顔で私に変なプレッシャーをかけた。
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