みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
「わたしも、大洋がずっと好きだった。でも、あなたみたいな若くて素敵な男の子がわたしみたいなおばさんなんて相手にしないだろうと思ってた」

「おばさんなんかじゃないよ」

「でも、わたし、アラサーだし。大洋より6歳も年上――」

 言い終わらないうちに、大洋の唇がわたしの唇に触れた。

 そのまま、唇を離さずにささやいた。

「おれにとって、あなたは世界で一番かわいい人だ」

 それから、息ができなくなるほどの激しさで唇を貪られた。

 雨の夜の苦いキスは跡形もなく上書きされ、ただ甘く蕩けるキスの感触だけがわたしの唇に刻まれた。

 わたしもその激しさに必死で応えた。
 大洋を大切に思う気持ちをすべて込めようと。


 名残惜しげに唇を離してから大洋は耳元でささやいた。



「今夜、美羽さんの家に行ってもいい?」
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