みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 ドアノブに手をかけようとしたところで、背後から「美羽さん」と呼ばれた。

 振り返ると強く抱きしめられた。
 わたしが背負っていたリュックがドアにぶつかって大きな音を立てる。

「ありがとう……来てくれて。会えてうれしかった」

 そう言うと、大洋は真顔でじっとわたしを見つめた。

「それはこっちのセリフだよ。大洋と会えてよかった」

「おれ、はじめて飲んだ日から、ずっと美羽さんのこと好きだったよ。でも、美羽さんいつもつれないし。きっと、あなたみたいにしっかりと生活を送っている人は、おれみたいな男と付き合う気ないんだろうって思ってた。それでも諦めきれなくて、しらみつぶしに、この辺の図書館に行きまくったんだよ」

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