タツナミソウ

4

私はロッカーから帽子とメモ帳とペンを取り出した。
舞が「よーし。午後からも頑張ろう」と両手を空に向けて伸ばしていた。

「あれ?幸子のメモ帳ってそんなんだったっけ?」

「ああ。うん。変えたんだよね。」

「ふーん。そうなんだ。トイレ行くから先行くね。」

これは会社のメモとは別の物だ。

幸子は、亮太とやりたい事をメモ帳に箇条書きにして、まとめはじめようと用意した物。
「亮太とやりたい事リスト」
という題名をつけて。

これを亮太に見せて、一緒に色々思い出を作っていこうと考えていた。おもいついた時にすぐに書けるようにしなくちゃと、常に胸のポケットに入れておく事にした。

これからはあたしの胸を亮太でいっぱいにしたい。風がたくさんふいても、もう冷たくならない様に、もうその度に悲しくならなくてもいいように。今はこれで塞いだ。

もう、我慢しなくていいんだよね?

もう、1人で泣かなくていいんだよね?

幸子は右手でロッカーのドアを閉じた。
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