王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい
 “コンコンッ”

 「父様、ザライドとアンジュです。」

 はっ!気がつけば執務室の扉の前に来ていたみたいだ。

 「入りなさい。」

 壁一面本棚でほとんどが埋め尽くされている。何回か入ったことはあるが、やっぱり本棚に圧倒される。これ、全部読んだのかな?

 「来たな。ザライド、アンジュ、これから大事
 な話をするからな。」

 「お父様、大事なお話とはなんですか?」

 私、来るようには言われたけど何の話なのかは知らないんだよね。

 「あぁ、それはな……おまえたちはこの世界の
 男女比がいくらか知ってるか?」

 「…?」

 男女比?

 「……1:1?」

 「アンジュ、違うよ。5:1だよ。」

 「5:1?!」

 「あぁ、そうだ。だから女の子、アンジュは貴
 重なんだ。いろんな意味で、ね。」

 「で、父様。本題は?」 

 2人が何か話しているが、私はそれどころではなかった。

 「(えっ、どういうこと!?5:1!?何かすごい世界
 に転生したんだな…。)」

 「5歳から婚約できることは知ってるな。」

 「う、うん…。それがどうしたのお父様?」

 危なっ!途中聞いてなかった…。でも婚約?

 「国の法律で兄妹・姉弟は筆頭婚約者になるこ
 とが定められているんだ。」

 「……?ひっとうこんやくしゃ?」

 「あぁ、そうだ。だからおまえたちには婚約し
 てもらうよ。」

 「えぇ〜!ザライド兄様、これ知ってたの!」

 「う、うん。知ってたよ…。だから……」

 「だから?」

 兄様どうしたんだろう?私が思わず首を傾けて尋ね返すと兄様は真っ赤になった。

 その様子をお父様とお母様は微笑ましげに眺めていた。っていうかお母様、いつからいたんだ?
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