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数日後。


隼輔の熱も下がり、今日も秘書としての業務を終えた私は託児所へ出向き隼輔と一緒に外に出た時、目の前に見知らぬ黒塗りの車が停まったことに気が付いた。


それに嫌な予感がしつつも、隼輔を抱っこしている手に力を込めて、しっかりと隼輔を抱きしめる。


すると、後部座席から降りてきた人影に驚いて目を見開いた。



「……よぉ、舞花」


「……しゅ、んや……」



お互いを名前で呼ぶと、佐久間商事の専務とTOKIWAの役員秘書ではない、幼馴染の関係に一気に戻った気がした。


隼輔は遊び疲れたのか抱っこに安心したのか、私の腕の中でうとうととしている。



「……とりあえず、送ってく。乗って」



私の腕の中にいる隼輔を見て、隼也は複雑そうな顔をしながら私に告げた。


それに上手く言葉が出なくて、首を横に数回振る。



「なんで?」


「……すぐそこだし。その……車だと、チャイルドシート無いから」


「……それもそうだな。じゃあ歩いて送ってく。それならいいだろ?」



隼也はそう言うと、私の返事も待たずに運転手に何かを告げて私の隣に並ぶ。


あの頃と同じ、高い身長。久しぶりに間近で見たその堀の深い顔立ちは、見れば見るほど隼輔とよく似ている。


何故だかそれに泣きそうになりながらも、私は隣を歩く隼也に倣うように歩みを進めていた。