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「ただいまー」
楽しかったデートを終えて、家に帰ってきた。
洗面所に直行し、手を洗っていると。
「れい兄、おかえりっ」
「おぅ」
由宇がドアの隙間から顔を覗かせた。
やけにニコニコしてんなぁ。またお小遣いでも貰ったのか?
「どうしたの?」
「実は、あつ兄がズイッチ買ってくれるんだって!」
「ゲーム機?」
「うん! あと! 姉ちゃんはソフト買ってくれるんだって! 後で何がいいか一緒に選ぼ!」
興奮気味に言い残してドアを閉めた由宇。
相当嬉しかったのか、ドアの向こうで鼻歌を歌っている。
お小遣いの上の上をいくとは……さすが兄ちゃん姉ちゃん。
ゲームっていっても、受験生だからする暇ねーんだけどな……。
部屋に戻って着替えて、ゲーム機の値段を調べる。
うーん、これもお年玉全額の8割……。
これにソフトも買うなら、貯金を使わないと厳しそ……。
「貯金……?」
ハッと気づき、引き出しから通帳を取り出す。
確か春休みまでバイトしてた分のお金が、まだ残ってた気がするんだけど……。
「…………足りるな」
残高を見てニヤリ。
初めてのプレゼントにしては、少し高くて重いかもしれないけど、最初だからこそ、素敵な物を贈りたい。
そうと決めたら。早速明日、買いに行きますか。