猫目先輩の甘い眼差し


お風呂を終えた後、月香ちゃんと一緒に1階にあるお土産屋さんへ向かった。



「それでさっき、ツッコまれちゃった」

「あらら……。そういえば、挨拶してなかったっけ。またこじれちゃったの?」

「うん……」



両親に頼まれた箱入りのお菓子を手に取り、かごに入れる。

詳細はさすがに言えなかったので、零士先輩と2人でいたところを見られてしまったと話した。



「引きつっちゃうくらい、盛り上がってたの?」

「……うん」

「そっかぁ。樫尾くんに限ってそれはないと思ってたけど……やきもち妬いちゃったのかな」



そう意見して、先にレジに向かった月香ちゃん。


やきもちだったらどれだけマシか。

あの時、目をかっ開いて、口を引きつらせていただけじゃなかった。

眉毛がピクッと動いて、一瞬だけ、眉間にシワが寄ったのを見たんだ。


あれは絶対やきもちの顔じゃなくて、嫉妬の顔。
いや、拒絶の顔だよ……。



──その後数日間、グループ行動が続いたため、男子グループと絡む暇もなく。

樫尾くんと一切会話せず、4泊5日に及んだ修学旅行が終了した。
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