猫目先輩の甘い眼差し


教室に戻り、待機していた月香ちゃんにバトンタッチ。

売り場に陳列して最終確認を行う。



「今日零士さんは来るの?」

「うん。買いに来るって。接客する?」

「いや、やめとく。まだ根に持ってそうだし」



「来たらいないって言っといて」と言い残して、樫尾くんはバックヤードへ。


本当、昨日は凄まじかった。
帰り道も『郁海のバカ野郎……』って呟いてて。

気の毒だったけど、面白くて面白くて、笑いをこらえるのが大変だった。

思い出し笑いしないよう気をつけなきゃ。



✾✾



「あはははっ! そんなことがあったんだ〜」



店番を終えたお昼前。

月香ちゃんと2人で、中庭を見下ろせる渡り廊下にやってきた。


樫尾くんと無事仲直りしたと知って、ホッとした表情を見せたかと思いきや。

零士先輩が乱入したことを伝えたら一変。手を叩いて笑い出した。



「だから樫尾くん、先輩が来た瞬間隠れてたんだね」

「そうそう。でも多分バレてたと思う」

「あらら。余計に腹立っちゃったんじゃない?」

「かもね」
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