西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
紫苑
紫苑は、飄々とした性格をした30歳。
いつも微笑んでいて、物腰も柔らかい。

西岡三兄弟とは従兄弟関係で、三兄弟の父親の兄が紫苑の父親だ。

そして紫苑の父親は、西鷹組・組長である。
西鷹組の若頭は朱雀だが、実際に若頭として働いてるのは紫苑だ。

残忍で有名な西鷹組。
組員全員が、残忍で恐ろしい組織。

西岡の一族の中で一番恐ろしいのは朱雀だが、紫苑もそれなりに恐ろしい人間だ。

そして花苗の初めての恋人で、全てにおいて花苗の初めての相手だ。
今でも花苗を一途に想っていて、花苗は紫苑の一番大切な人だ。


「あ!そうだ!
もうすぐ、黄兄さん達帰ってくるからね!」
紫苑の言葉が、残酷に東屋に響く。

「う、嘘……」
花苗の震えが最高潮に達する。
「でも、大丈夫だよ!
花苗ちゃんや水樹さん、塩見さんのことはちゃんと俺が守るから!
てか、三兄弟も三人を責めるつもりないみたいだし!」
紫苑が微笑み、花苗の頭を撫でる。

「でも、秀実さんには……」
「うん、楽しみだね!どんな仕打ちが待ってるんだろうね~!」
とても楽しそうに笑っている紫苑から出た、残酷な言葉が再度東屋に響く。

本当に恐ろしい人だ。

「お願い!!秀実さんの事も守って!紫苑くん!」
「うーん、それは嫌だ!」
「え……どうして?」
紫苑の服にしがみつき懇願する花苗に、笑顔を少しも変えることなく言った。

「だって━━━━」
そして花苗の頬を両手で包み込み、目を覗き込んで言った。

「俺が一番大切なのは“西岡 花苗”だもん!
言ったよね?
俺だって“まだ”花苗ちゃんが大好きなんだよ?
今でも鮮明に覚えてるんだぁ。
花苗ちゃんとの恋人同士だった時のこと。
初めてキスした時の、花苗ちゃんの恥ずかしがってた可愛い表情。あの時…あのまま家に拐ってそのまま抱きたかったなぁとか、本当は家に閉じ込めて朱雀なんかに渡したくなかったとか…さ!
……………だからね、秀実の行為は許さないよ!絶対に!」
紫苑から、朱雀とはまた違う残酷な雰囲気が漂ってくる。
「紫苑…く…」

「俺の花苗ちゃんを傷つける行為は、お前がこれから味わう沢山の幸福を“地獄”に変える」

「紫苑くん、その言葉………」
花苗は、紫苑と付き合っていた時の事を思い出していた。
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