片恋
教室で聞いていたみんなにも、何も言えなかった。


固まっている場合じゃない。

すぐに、否定しなきゃいけなかったのに。


未だにつかまれたままだった腕を、泣きそうな顔で見る。


「……延藤くん、離して」

「ああ、ごめん」


机に置いた手が震える。

伊月くんがいる席を、見ることが出来ない。
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