身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
いやいや、と椿は首を横に振った。菖蒲と比べてはならないとさんざん仁に言われたではないか。

椿は心を落ち着かせ、下着の上にワンピースを重ねた。

光沢のある艶やかな素材で、動くたびに裾がひらひらと揺れてシルエットが美しい。色も椿好みの淡くて品のあるピンク色だ。

すごく素敵な、ドレスのようなワンピースだが、この下にあの派手な下着を身につけていると思うとやはり恥ずかしくなってしまう椿だ。

仁にもらった暖色系のコスメを使ってメイクを施し、髪は普段はしないハーフアップにしてビジュー付きのバレッタで留める。

髪のドライとメイクに随分時間がかかってしまった。待たせてしまったことを申し訳なく思いながらリビングに戻ると、仁は携帯端末を耳にあて、誰かと通話しているところだった。

「――ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。――ええ。椿さんはこちらでお預かりします」

どうやら椿の両親に連絡を入れてくれているようだ。

仁は誠心誠意謝罪したあと、「それと」と控えめに切り出した。

「会見の場で、婚約の報告をしたいと考えております。お許しいただけるでしょうか」

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