むり、とまんない。

余裕のない瞳



「ええっ!?
あ、あたしもいいの!?」


「うん。
遥がいっしょにって」


「え、どういう風の吹き回し?」


「いや、私もよくわからないんだけど、なんかボディーガードがなんとかって……」


「ボディーガード……。
ほっほーん?なるほどね。
了解した!」


「え、今のでわかったの?」


それから次の日。


朝学校に来てすぐ、今日の音楽番組のことをあーちゃんに話していた。


予定としては、放課後に清見さんが迎えにきてくれることになってて。


大丈夫って言ったんだけど、遥は女の子だけじゃぜったいだめって言うし、清見さんが喜んで迎えに行くって言ってるって聞かなくて。


まあ、テレビ局なんて普段行くことなんてないし、関係者で行くにしてもわからないから、逆によかったかも。


「crownも出るから、天草もぜひとも見たいだろうからって、遥が」


「それは二の次だと思うけどね」


ヤレヤレとため息をついたあーちゃんだけど、胸の前で手を合わせて、「ありがたや〜」なんて言ってる。


「正直なところ、本当はずっと見に行きたいと思ってたから、めちゃくちゃ嬉しい!倍率高すぎて、なっかなか当選しなくてさー」


聞くところによると、一般観覧はいつも募集をかけてるらしい。

けれど、あーちゃんはその度に、


「まただめだった……」


って落ち込んでたから、誘ってよかった。
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