神、恋に落ちる
「誰に向かって言ってる」
黒崎の鋭い視線を打ち消すように、更に鋭い視線をぶつける命。

「神…」
「お前はわかっていない。
“白羽を悲しませる”という意味が」

「え……?」
「“白羽を悲しませる”行為は━━━━━
俺と離れること。俺から愛されないことだ。
俺が白羽を管理することの、どこが悲しいんだ?
お前はただ、俺の言うことに忠実でいればいい!
わかったか?」

「…………はい、かしこまりました」
命の真っ直ぐな視線に、黒崎は頭を下げベットルームを後にしたのだった。


「神、新しいスマホです」
「ん、サンキュ!」
「命さん、スマホ変えるんですか?」
夜が明けて、朝食中。
黒崎が命に新しいスマホを渡す。

命に後ろから抱き締められていた、白羽。
振り返り、首を傾げた。
「ううん。変えるのは、白羽だよ!」
「へ!?私!?」

「ごめんね…俺が、白羽のスマホ壊しちゃったんだ……」

「え……なんで…?」

「ごめんね………!
だから、今日からこれ使って?」
「は、はい…わかりました」
「番号は俺と天使ちゃん、お義父さん“だけ”入ってるから!
それ以外、必要ないよね?
まぁ、ほとんどスマホ使うことないだろうけど……」

「あ…はい…」
「他に必要な番号ある?」
「え?あ、いや……」

「まさか、あるの?なんなら、俺だけの番号にしようか?それでもいいかもね!」
「え?でも、由那やお義父さんに連絡……」

「その時は、俺のスマホ貸すよ!
よし!そうしよう!
……………いいよね?白羽」
命は白羽の目を覗き込むようにして、言い聞かせた。

「…………はい…」

ゆっくり頷く白羽を、嬉しそうに抱き締める命。
「フフ…嬉しい…!
……………そうすれば、俺も余計な感情を持たなくて済む……」

そして、白羽に聞こえないように呟いた。


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