【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 そしてアイリーンのことを一番よく知っているカーナも同じ文芸部員だった。そんなカーナは、アイリーンが書いている何かが気になって気になって仕方がなかった。
「何をそんなに一生懸命書いているの? 次の部誌の作品?」
 そう問うてくる彼女に、アイリーンは何も答えられなかった。これは自分の趣味丸出しの作品。これを部誌にのせられるわけがない。
 それでもカーナはしつこかった。
「そんなに一生懸命だと、気になって仕方ないの。できたら読ませてね」
 それに答えた時のアイリーンの顔は、多分、酷い表情だったと思う。口が重力に負けて、力なく開いていたと思う。

 そもそもアイリーンのビーエルにおける方針は、強制しないこと。だけど、勇気をもって門を潜り抜けてくれた人には「大丈夫、怖くないよ」と快くお仲間に迎え入れたい。つまり、カーナはこの門を潜り抜けて人物である、と解釈することにした。
 妄想が妄想を呼んで、なんとかアイリーンの創作話ができあがった。その時のカーナがしつこかったため、
「できたから、読んでみて。合わなかったら、途中で読むのをやめていいから」と彼女には伝えた。

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