アイリーンは新年をプーランジェで迎えた。長夜の月から狼の月へと変わり、年が明けた。アイリーンは今年、十七になる。
 新年を十日程プーランジェで過ごした彼女は、アスカリッドへと向かう。プーランジェとアスカリッドの移動では、モントーヤ伯の屋敷に一泊することが定番となりつつある。
 だが、このモントーヤ伯の屋敷からアスカリッドまでは、ランスロットが送ってくれることになった。父親が仕事で急いで王宮に戻らなければならず、アイリーンをモントーヤ伯の屋敷まで送ったらそのまま王都にとトンボ帰りしたからだ。幸いなことに、ランスロットが交代制の長期休暇で屋敷に戻っていたため、というのもある。

「別に、私が送ってもいいんだけどね」

 モントーヤ伯は楽しそうに笑っていたが、その役をランスロットに譲ったらしい。ランスロットは、アスカリッドの王都も見てみたいから、という理由で引き受けてくれた。
 だが朝早くモントーヤ伯の屋敷を出ても、着くのは早くて日が沈みかける頃。しかも今は狼の月だから、日が沈むのも早い。もしかしたら、沈みきっているかもしれない。王都を見てみたいと言われても、暗くてはせっかくの街並みも見ることができないのではないか、と考えた時、休みに入ってすぐにノエルに連れて行ってもらったイルミネーションがいいかもしれない、とアイリーンは閃いた。