【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「あの、ランスロット様」

「ランスでいいよ。それに身分で言えばあなたの方が上だから」

「ですが、あなたの方が年上です」
 という結果、ランスさんと言う呼び方で落ち着いた。ここにモントーヤ伯がいたら、両手を挙げて喜んでいたことだろう。

 アイリーンはモイラと並んで座り、その向かいにランスロットがいる。モイラは黙って姿勢を正している。ランスロットは、肘をつきぼんやりと窓を見つめている。
 どうでもいいが、気まずい。会話が続かない。助けて、という視線をモイラに向けてみるものの彼女はそれに気付かない振りをしている。
 こんなときは本を開くにかぎる、と思ったものの、人前でむしろランスロットの前で広げられるような本はなかった。と思ったときに、アスカリッドの美術館で買った画集を思い出した。これをゆっくりと眺めているのも悪くはないかもしれない。
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