彷徨う私は闇夜の花に囚われて

離れる心




承認されてから呟きを遡ってみたものの、紅バラさんだと決定づける証拠は一つもなくて。


なんせ、呟かれる言葉はただの愛。


私のことばかり。


パンジーさん自身のことはわからないんだ。性別さえも。


閲覧を承認する通知と紅バラさんからのメッセージがほぼ同時だったのは、ずっと胸に引っかかっているけれど。


紅バラさんだと決まったわけじゃないよね……。


それに、もしもパンジーさんのアカウントが紅バラさんのものだったとしても、怖くなんかない。


大丈夫。受け止められる。怖くない。


怖くない。


そうやって自分の心を宥め続け……気づけばその日から3か月が経っていた。


SNSを始めてから1年が過ぎた今。


始めたばかりの頃のようなわくわくは微塵もなくて、心が疲れている。


配信も頻度を落としてしまった。


『最近あんまり配信やらないよね、大丈夫?』

『彼氏とイチャつくのはいいけど、ちゃんと両立してもらわないと困るな~』

『少なくなっても十分癒しになってる!ありがとう!』


配信で寄せられる様々なコメントたち。


ネガティブな私はちくちくしたコメントを拾いがちで、心の疲弊(ひへい)に拍車をかける。


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