消えた未来
 星那は私の言葉に傷付き、視線を落とす。

 謝らないと。

 頭ではわかっているのに、声が出てこない。

「これでも迷ったんだよ。私は、真央が久我と恋愛をするのは反対だったし。でも、久我に会えなくて落ち込んでいるところも知ってるから……真央にまた心から笑ってほしかったから……」

 星那の声が震えている。

 でも、星那が泣くよりも先に、私が泣いてしまった。

「会えなかった……久我君の最期に、立ち会えなかった……あんなに毎日行ってたのに……今日も、また久我君と笑い合えるって思ってた……ねえ星那……つらいよ……あのときとは違うの……もう、どこを探しても、久我君はいない……こんな世界、耐えられない……」

 星那を困らせるだけだとわかっていながら、涙を落とし続ける。

 星那は私を強く抱き締め、背中をさすってくれる。

「……星那ちゃん、交代しよう」

 すると、お姉ちゃんが入ってきた。

「でも」
「大丈夫。私に任せて」

 お姉ちゃんの強い声を信じたようで、星那がゆっくりと離れていった。

 そのまま星那が部屋を出ると、お姉ちゃんは電気をつけた。

 久しぶりに直接光を浴びて、私の目は光が入ってくることを拒絶しようとした。
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