消えた未来
「で? それを知って、どうするんだよ」

 ここまでくれば、もはや戸惑っている場合ではない。言いたいことをすべて言ってしまおう。

「ずっと、久我君の言葉が頭から離れないんです。どうして久我君にあんなことを言われなきゃいけなかったんだろうって……でも昨日の、あの女の子に笑顔で対応していた久我君が、本当の久我君なら……」

 そこで言葉が見つからなくなった。

 自分のことなのに、久我君のことを知ろうとしている理由が、ちゃんとわかっていなかった。

 ちなみに、久我君の反応が怖くて、ずっと顔を見れていない。今も、久我君の足元しか見ていない。

「俺の言葉を受け入れて、変わろうと思うって?」

 すると、久我君は半笑いで言った。顔を見ると、明らかに私を嘲笑っているのがわかる。

 そんなにバカにされるようなことを言った覚えはない。

「他人にちょっと言われたくらいで変わろうとするとか、あんたって自分がないんだな」

 昨日に引き続き、厳しい言葉だった。

 それはつまらないと言われたほうがマシだと思えるくらい、胸に刺さった。きっと、自覚しているんだと思う。

 だけど、やっぱり久我君に言われるのは、なにかが違うような気がした。
< 20 / 165 >

この作品をシェア

pagetop