想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「残念です。」
最後に告げられた言葉。

宏貴は一瞬思考が停止してから、すぐに恵理の方を見た。

両手で顔を覆って泣いている恵理。
「開いている病室にこれから移動します。点滴が終わったら医師の指示の通り、お薬をもらってください。詳しい説明は、付き添いの方にしてもいいですか?」
看護師の言葉にももう、答えることができない恵理。

「はい。」
代わりに宏貴が返事をすると看護師が何とも言えない表情で頷いた。

病室にうつった恵理は泣き続けていた。
あまり泣きすぎて体に障ると心配になる。
宏貴は点滴に気をつけながら恵理の髪を撫でたり、手を握る。
< 153 / 263 >

この作品をシェア

pagetop