キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「え? 智成?」
カウンターに突っ伏している智成を見てギョッとした。
肩をゆすっても反応が薄い。
「あ~これ寝たな」
お兄ちゃんが呆れてため息をついた。
まさか、ここで寝てしまうとは思わなくて私は脱力してしまった。
私をこんなに悩ませておいて寝るなんてなんて奴だ。ちょっとほんとにこのまま付き合っていいものか考えてしまう。
その間にお兄ちゃんは慣れたようにウェイターを呼んでなにやら話し、智成の肩を担いだ。
「部屋取ったからこいつを寝かせて来よう。茉緒手伝って」
「うん」
お兄ちゃんが用意した部屋はジュニアスイートの立派な部屋だった。
ダブルベッドが二台にソファーとテーブルに大きなテレビ、作りはシンプルだけど高級感があってさすがダイアモンドホテルと感心してしまった。
智成の上着を脱がせベッドに寝かせるとお兄ちゃんは大きく息を吐いた。
「さ、俺たちは帰ろう」
「う、うん。智成大丈夫かな?」
「後は智成が起きたら自分でなんとかするだろ」
「私がついてちゃ、ダメ?」
「ダメ、禁止してるだろ」
お泊り禁止は今も発揮してるらしい、上目遣いでお伺いを立てたけどやっぱりだめだった。
智成に付いててあげたい思いと、起きたら話し合いたいという思いだったけど、日を改めるしかなさそうだ。



< 156 / 252 >

この作品をシェア

pagetop