キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
『益木は総務から海外事業部に移動してきてまだ一年だが、教えたことをグングン吸収して本当に今成長期なんだ。だから、今は邪魔したくない』
彼女を思い浮かべてるのか穏やかな表情をする陸翔にほんとに好きなんだなと感じた。
前に同期会でもそんなことを言っていたが彼女に興味を持った奴らを牽制するためだと思っていたが本当だったんだな。
『の、割には出張嬉しそうじゃないか』
『……そりゃ、俺は諦めたわけじゃないし、好きな女と四六時中一緒にいられると思ったらうれしいに決まってるだろ』
『愛し合ってる俺と茉緒は引き離そうとしたくせに?』
好きな人と一緒にいられるだけで嬉しいのは誰でも同じだろう。
だが陸翔がそれを言うのちょっとムカッときて突っ込んでやった。
自覚があるのか陸翔はまずいって顔して言い訳してくる。
『うっ……悪かったよ! 本当に。ちょっと羨ましかったんだよ、お前たちが』
『羨ましいからって俺たちを引き離したのか?』
『だから! 悪かったって~~許してください智成大明神様~~!』
『許すわけないだろ~~~!』
土下座せんとばかりに縋ってくる陸翔を調子のいいこと言いやがって! と一蹴して、散々文句を言ってすっきりしたところで許してやった。
『まったく、俺たちを振りまわしたのにこれぐらいで許してやったんだから、これからも俺の役に立ってくれよ』
と、プロジェクト成功のために協力しろと念を押し陸翔が速攻で頷いたのは言うまでもない。
今頃陸翔は益木さんと楽しく仕事してることだろう。
この出張を機に、ふたりの間で何か進展があればいいのになと思う。
いざとなったら俺が陸翔は信頼できるいい男だと益木さんにお勧めしてやろう。
好きな女が腕の中にいることがこんなに幸せなんだと早く実感できたらいいな、陸翔。
そんな思いを巡らせているうちに茉緒の温かい体温にうとうとと微睡み、明日、茉緒にはキスの間に寝てしまったことに文句を言わなくては。と、ちょっとした悪巧みを考えながら目を瞑った。
明日、目が覚めても茉緒がいると思うと幸せだ。

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