政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「なんだ、間抜けな顔をして。
行きたくないんなら別にいいんだぞ?」

「行く!
行きます!」

慌てて、取り上げられそうになった封筒を取り返す。

「でも、どうしたんですか、これ?」

零士さんの経営する会社にアパレル関係はなかったはずだ。
個人の客としては神鷹家ならありえるが、メンズではなくウィメンズのコレクションがほとんどだった。

「たまたま?」

零士さんは嘯いているが、もしかして私のために用意してくれた……?
お見合いのあとにそのままパリへ来たのも、今日のスタートに合わせて?
ショーのあるファッションウィークは今日からはじまる。

「零士さん、ありがとうございます」

心から感謝の気持ちで頭を下げた。

「だから。
付き合いでたまたまもらっただけだ。
それで、清華はアパレル企業で働いていたと聞いていたから、好きなんだろうなと思っただけで」

少し赤い顔で零士さんは首の後ろを掻いている。

「はい、好きなんです。
ありがとうございます」

やはり零士さんは素敵な人だ。
こんな人と結婚できてよかったな
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