政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
第三章 零士さんのお嫁さん候補とは仲良くなれますか?
パリから帰ってきたら、引っ越しが終わっていた。

「ようこそ、我が家へ」

深夜に空港から直行した新居のドアを、零士さんが開けてくれる。
新居は零士さんが所有している、レジデンスだ。
セレブ街の一角に佇むそれは五階建てで、零士さんはオーナー特権で最上階を占有していた。

「お邪魔します……」

「お邪魔しますって、自分の家だろ」

おそるおそる私が部屋に入り、零士さんはおかしそうにくすくすと笑っている。

「そう、なんですけど……」

知らない家は落ち着かない。
だいたい、ひとり暮らしをしていたマンションを出たあとは、しばらく実家暮らしなんだと思っていた。
それが、いきなり新居になるだなんて想像もしていない。

「まあいい。
今日は遅いからもう寝よう。
詳しい話はまた明日だ」

「そうですね」

とっくに日付はまたいでいる。
彼の言うとおり休んだ方がいいだろう。

「おやすみ、清華」

「おやすみなさい」

私の額に口付けし、零士さんは布団に潜った。
私も一緒に横になって目を閉じる。
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