政略結婚のはずですが？～極甘御曹司のマイフェアレディ計画～

ベッドは昨日まで寝ていた高級ホテルのベッドよりも、さらに寝心地がよかった。



翌朝は零士さんが雇っているというメイドさんが朝食を作ってくれた。

「お味噌汁、日本に帰ってきたって気がしますね」

向こうで和食を食べなかったわけではない。
日本人の料理人がいる和レストランでの夕食もあった。
それでもこうやって食べるお味噌汁は身に染みた。

「それはよかった」

レンズの向こうで目を細め、ふわりと零士さんが笑う。
それに心臓が甘くとくんと鼓動した。

「食べたら、ここのことを説明する」

「はい、よろしくお願いします」

昨日までは新婚旅行だったので、今日から本格的に結婚生活がはじまるんだ。
上手くやれるかな？
それに早く慣れて、計画を実行に移したい。

朝食のあと、零士さんが雇っているメイドさんを紹介してくれた。
メイドさんはふたりで、同じレジデンスに住んでいるのでどちらかひとりが二十四時間、それこそ夜中でもなにかあれば対応してくれるらしい。
今まではひとりだったが、私のためにもうひとり雇ったと聞けば、悪かったなと思う。

そのあとは家の中を案内してくれた。
寝室、零士さんの書斎、ゲストルーム。
あとは……。

「ここは清華の部屋だ」