合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

魔物の肉(九)


 私が家名を出した途端、またギルド内がザワザワとし出す。

 侯爵家の令嬢が魔物の肉を買いたいと言えば、それもそうだろう。

 しかし実物を見て、実際にやってみないことには何とも言えないのだから仕方ない。

 私が言い出した以上、私が最後までやらないと。

 例え、今はお貴族様の遊び事だと思われたとしても。

「ソフィア」

「いいんです、私が言い出して、私がやりたいことですから」

 キースに微笑むと、ギルド長が大きく咳払いをした。

 思わずギルト長を見上げると、やや悪巧みを思い付いたような、そんな笑みを浮かべている。

「お前ら、ソフィア嬢がここまで言っているんだ。もちろん持って来れるな」

『了解』

 そんな言葉が口々に出てくる。みんなどこか楽しそうだ。

 私までつい、ウキウキしてくる。

「お嬢さん、肉が手に入ったら侯爵邸まで遣いを出すとしよう」

「ありがとうございます、ギルド長。その時はすぐ飛んで来ますね」

「いいてことさ、こっちも利益がある話だ。大船に乗ったつもりで待っていてくれ」
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