1、王太子宮

そうして、慌ただしく支度をしているうちに、お芝居披露の日はやってきた。
ローレウス殿下が手配してくれた馬車に乗り、私とおばあ様、メイドたちは王太子宮へと向かう。
晩餐会の時は夜で、闇夜の王宮だったけれど、今回は昼。
燦々と輝く太陽の下、ルミナリエス王宮は、絢爛豪華な建築美を余すことなくさらけ出していた。
その美しさを細部まで堪能していると、馬車が止まり、見たことのある人が私たちを出迎えた。

「これは、皆々様!ようこそお越し下さいました!ささ、こちらへ」

満面の笑みで迎えてくれたのは侍従マイラー。
彼はエスカーダ邸へ来た時とは比べ物にならないくらい顔色が良く、溌剌としていた。

「マイラー、今日、ルイザ様の体調は?」

おばあ様が聞くと、マイラーは相好を崩した。

「いつもより随分とご機嫌でございます!ルキア様のお芝居が見られるということで、朝からもうソワソワと」

「それは良かったわ!この調子で病が全快するといいわね!」

「ええ!あ、妃殿下をお待たせしてはいけませんね。では、行きましょうか」

私たちはマイラーの後を付いて歩いた。
王太子宮は晩餐会が開かれた場所よりもさらに奥にあり、周りは壁ではなく、美しい緑の垣根で仕切られている。
その垣根は何重にもなっていて、迷い込んだら出られない、迷路のように刈り込まれていた。
まるで、おとぎ話みたいな世界だわ。
目を輝かせながら、歩いていくと、やがて大きな扉に行き当たり、マイラーが立ち止まった。