廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「カトレア・エスカーダ様、ルキア様、ご到着にございます」

マイラーが大きな声で奥へと告げると、暫くして男性の低い声で「入れ」と返答があった。

「カトレア様とルキア様は奥へどうぞ。あとの者は暫しこちらで待つように」

マイラーの言葉にメイドたちは頷き、私とおばあ様は連れだって奥の部屋へと向かう。
そこにはローレウス王太子殿下とルイザ様がいた。

「おお!カトレア大叔母様、ルキア。すまぬな、我が妃のために」

ローレウス殿下は、ルイザ様を支えながらにっこりと微笑んだ。

「良いのですよ。ルイザ様のご病気、さぞ心配だったでしょう。少しでも気が晴れるなら、ね?ルキア」

「はい!おばあ様!拙いお芝居ですが、ルイザ様が喜んで下さるよう精一杯がんばりますっ!」

と、胸を張る私に、ルイザ様は柔らかな表情で頷いた。
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