一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 外見は一般的に男らしいスポーツマンという印象がある人だけど、どこか冷たい印象がある。

「どう? 琉永さんにはもったいないくらいの素敵な人でしょう?」

 いつもより濃いめの化粧をした継母が高い声で笑った。

「……そうですね」

 第一印象では、素敵な人とは思えず、暗い気持ちで返事をした。
 
 ――どうして、私と結婚しようと思ったのかな。

 外見も悪くなくて、大きい会社の専務なら、モテモテのはず。
 潰れかけの工場の娘とお見合いするメリットが、どこにあるのか、私にはわからなかった。

「ごめんなさいね。愛想のない子で」
「いいえ。おとなしい女性は嫌いではありません。余計なことを話す女性のほうが苦手ですね」

 そんなことを言って、啓雅さんは運ばれてきたアイスティーを口にした。

「琉永さん。よかったわねぇ~。啓雅さんに気に入っていただけたみたいよ」

 今のが継母への皮肉だということに気づいていない。
 啓雅さんはさっきから、一人で話し続ける継母を不快そうな顔で見ていた。
 継母のことは好きではないけれど、あからさまに顔に出す啓雅さんにもあまりいい印象を持てない。
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