魔法の恋の行方・ドラゴンのヘタレ純愛・シリーズ6(グラゴールとエリィ)

エルフの調査・52~55

<グラゴールの書斎・その1>

次の日の朝食の時、
テーブルにエリィが着席すると、
すぐにアンナが笑顔で

「旦那様がお昼過ぎにお戻りに
なられます。
道が開くので、グレーズが馬車で
神殿まで、お送りいたしますよ」

「そうですか・・
ありがとうございます」
そう言って、
エリィはお茶を一口飲んだ。

「アンナさん、植物の名前を調べたいのですが、
ここには図鑑とかありますか・」
エリィは聞いた。

「そうですねぇ・・
本はグラゴール様の書斎に
たくさんありますけど」
アンナは、
皿を片づけながら答えた。

「あの、
見せていただいていいですか?」

「ええ、それではご案内しましょうね」
長い廊下を、アンナが先に歩く。
館の奥まった場所、
アンナは重厚な扉を開けて、
すぐに窓のカーテンを開けた。

大きな執務用机の上は、
きちんと片づけられ、この主が
几帳面であることを物語っていた。

机の両側は天井まで書棚があり、
本がぎっしりと入っている。
「すごくたくさんあるのですね」

「グラゴール様は、読書が趣味ですし、学校も首席でご卒業されましたからね」
アンナは胸を張った。

ああ、勉強のできる人なのだ・・
エリィは、頬に手をやった。

「アンナさん、お仕事してください。私はここで捜していますから」

「それでは・・
ご本が見つかったら、居間にお戻りくださいね」
アンナは出て行った。

アンナがいなくなるのを確認すると、
エリィは、素早く書棚を下から検索し始めた。

エバンズ家の系譜・・
これだけの由緒ある家なら、
家系図か系統譜・または歴史書が
あるはずだ。

エリィは、
それらしき大きくて重い本を、
引っ張り出した。
革表紙の本には、
大きくドラゴンの紋章が刻まれている。
すぐにページをめくった。

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