魔法の恋の行方・ドラゴンのヘタレ純愛・シリーズ6(グラゴールとエリィ)
グラゴールが机につっぷし、
うめくように言葉を続けた。

「俺がエルフなら・・
よかったのだろうが、
あの時は、婆さんの姿で・・・
だから」

アンナが腕組みをして、グラゴールのそばに立った。

旦那様は・・
すべてにおいて優秀であり、
他のドラゴンより秀でているのに・・

しかし、
恋愛に関してここまでヘタレ
とは。
結構エルフと遊んでいたし、
女関係も
卒なくこなすと考えていたが。

アンナが
グラゴールの背中をそっとなでた。
「明日の午後に、お返ししましょうね。
また、チャンスがあるかもしれないし」

「チャンスなんかない!
すぐに別のエルフの男が、
言いよるに決まっている!!」

アンナは
いらつくグラゴールを、なだめるように
「旦那様、相当にお疲れですから、今日はもうお休みくださいまし。

このお花は、書斎に生けておきましょう。
旦那様のお気持ちは、今は伝わらなくても」

そばで聞いていたグレーズが
とどめを刺した。
「魔法石を使っての誘拐は・・・
まずかったですだ。」

グラゴールは顔を手で覆った。

エリィは・・・
音をたてないように注意して、
自分の部屋に戻った。


< 51 / 60 >

この作品をシェア

pagetop