・LOVER—いつもあなたの腕の中—
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 二人でいたかったのに。
 最後だと分かっていたのに。
 どうして素直に言わなかったのだろう。


「追いかけていくね」とか「ついて行くね」なんて言葉じゃなくても。「会いに行ってもいい?」でも「待ってるね」でも構わなかったのに。


 未来に繋がる言葉を隆好に伝えていたら。
こんなふうに会えなくなり、後悔ばかりが募ることなど無かっただろうに。
 変に強がったりせずに、自分の気持ちに正直になればよかった。


 隆好は副社長でいる時もリュウでいる時でも。何時だって真っすぐに気持ちを伝えてくれていたから。
 無邪気な笑顔に一々ドキドキさせられて、隆好に恋をして堕ちたのは私なのに。


「はぁ」


 あれから、溜め息しか出てこない。残っているのは、後悔一択だからだ。仕事をしていてもテレビや映画を観ていても。結局は、何にも耳に入って来なくて。
 心ここに在らず、という状態が続いていた。
 最近では別れた最後の日のことが夢にまで出てきて、ぐっすりと眠れたことがない。


「塞ぎこんでいる位なら、最初から強がらなきゃよかったのに」


 何度も芽衣から言われ、既に作り笑いで返す癖までついてしまっていた。こんなこと、慣れっこになりなくないのに。
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