カラフルハート


「あと鍛治とそこら辺の男子も誘ってさ!」

「…っ!?」


鍛治くんも…?
鍛治くんと海……それは贅沢すぎません…?

でも鍛治くんは家のこともあるし、心音ちゃんや大輝くんのことも見なくちゃいけないだろうし、バイトや勉強も忙しいかもしれない。

ゆっくり遊べる時間はないかもしれない。
もう来年一応受験生だしなあ……


「あっ、ちょうどいいところにいた!おーーい、鍛治〜っ!」

「!?」


ミミちゃんがそう呼んだ先には男子が何人かいて、その中に鍛治くんの姿がある。

鍛治くんは私たちの方に振り返っては「今呼んだ?」と聞き返した。


「ミミちゃん、待って。鍛治くんは色々忙しくて」

「そんなの、聞かなきゃわかんないよっ」

「…っ」

「それに人生一度きりの青春を、忙しいって理由で放り出すのってもったいなくない?
私たちに与えられた時間は無限じゃないんだから」


そう言ってミミちゃんは私の腕を引っ張って、鍛治くん達のいるところに向かっていく。

本当だ。ミミちゃんの言う通りだ。
今しかできないことがある。

鍛治くんが忙しくて行けないかもしれない、じゃなくて…、大切なのは鍛治くんが行きたいかどうか、じゃないか。


「鍛治…とそこら辺の男子、夏休み海行かない?」


人差し指と親指をL字にした片手でポーズするのがミミちゃんらしい。


< 56 / 191 >

この作品をシェア

pagetop