恋と旧懐~兎な彼と私~
ー薄暗く,人通りのない階段の踊り場。



「えーと,慧,その」



こういう時,何て言えば良いのだろうか。

失恋ってことになるのかな。

付き合ってるってことは,きっとその先輩も好きだから付き合ってるんだよね?



「愛深…」

「慧! 私,そういうの,別に良いと思うよ。略奪って言うと響き悪いけど,気持ち伝えて,振り向いてもらえるように頑張るのも悪くないと思う!」



慧が何かいいかけたのを遮って,私が行き着いた考えを話した。



「うん。ありがとう。でもね,愛深待って」

「ん? うん」

「俺,確かに彼氏いるって聞いてショック受けた。でも,今はそんなことない」



つまり……?



「俺寧々さんすごく可愛いと思ったけど,恋じゃなかったのかも」



なんじゃそら。
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