恋と旧懐~兎な彼と私~
「……可愛い。でも」



取れないだろうなぁ。

積み上がった,手のひらサイズのマスコットキーホルダー。

その配置を見て,今までの経験から諦める。



「何みてんの?」

「あっ暁くん。早いね,ありがとう」



いつの間にか戻ってきていた暁くん。

私はその広げられた袋に景品をいれた。



「あれ,たぶん取れないけど可愛いなと思って」

「豆柴の?」

「そう」



私が言うなり,暁くんは100円を投入する。



「え,やるの? たぶん取れないよ」

「やったこと無いからやってみようと思って」

「無いの?!」

「コインは弘とやったことあるけど,興味なかったから……なにこれ,全然動かないんだけど」

「あはは…」



暁くんが狙った黒いその子は,重みでストンとその場におとされる。

あーいうのは転がせる位置に無いとだめなんだよね。
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