偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
こうしてお父さんのことをおじさんにお願いするようになったのは4年ほど前から。
お父さんが借金の取り立てに困っていたのを、相談したのがきっかけだった。
その時、危険なバイトをしてでもお金を用意しようとした私を叱って「おじさんに話してみなさい」と言ってくれたのが敬さん。
私の話を聞いたおじさんは困った様子ではあったけれど、「真理愛ちゃんのお父さんのことだから力になるよ」って言ってくれた。

「もうすぐ高城先生がみえるそうだから、説明はその後にしましょうか?」
皆川先生がベットの横に椅子を一つ置いた。

「ありがとうございます」
私は椅子に座り父さんの手をとった。

随分むくんで、パンパンになった手。
肌の色も土褐色で見るからに病人。
最近では数ヶ月に一度くらいしか会っていなかったから、こんなに体調が悪化しているなんて思ってもみなかった。

「治療すれば回復しますからね」
私の気持ちを見透かしたように言ってくださる先生。

「よろしくお願いします」

今は先生を信じてお任せするしかない。
私には何もできないんだから。
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