辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
 サリーシャはもう一度頷くと、用意された豪奢な馬車に今回同行するノーラと共に乗り込んだ。スカートが挟まらないように引き寄せると御者が扉を閉め、カチャリと金具が止まる音がした。窓から外を見るとこちらを見つめるセシリオと目が合ったので、サリーシャは心配させないように笑顔を浮かべる。

 馬車の周りには、セシリオよりサリーシャの護衛を命じられた五騎の騎士が付いている。先頭に一騎と、左右を守るように二騎ずつだ。
 サリーシャは少し警備が厳重すぎるのではないかと思ったけれど、セシリオからは最近金持ちを狙った盗賊が出るのでそれくらいしないと危ないのだと諭されてしまった。

 その先頭にいる、アハマス辺境伯家であることを示す紋章を背に掲げた騎士の合図で、ガタンと軽い衝撃と共に馬車が動き出す。
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