eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
第8話:告白

陽気な音楽とともに、いたるところから子どもの笑い声が聞こえる。

9月下旬でもこの日まだまだ暑く、半袖で来ている子どもがほとんどだった。

「けっこう人、多いね。さすが人気の遊園地」

「人込みは大丈夫だったか?」

「うん、遊園地での人込みはなんだか平気なんだよね」

そうヤマトに話すと、優しい笑みを私に見せてくれた。

か、かっこいい。
ヤマトは配信の時にも事務所の服を着ていることが多いんだけど、今日の私服はそれにしてもかっこ良かった。

細身のデニムに白いシャツというシンプルなものだけど、それが逆にヤマトの端正な顔立ちを際立させている。

眩しすぎる。このまま洗濯洗剤のCMにも出られそうだ。

私の方は服装を迷いに迷ったけど、動きやすい服を選んだ。
遊園地で歩くだろうし、ヒールじゃなくてスニーカー。

そのせいで、ヤマトとの身長差が広がる。

だけど、せっかく誘ってもらった遊園地で、歩くことを気にしたり乗り物を楽しめない方が失礼かな、と思ったのだ。

「ハル、まずは何乗りたい?」

「んー、ヤマトは苦手な乗り物とかある?」

「特にないかな、ハルは?」

「私もないから、気兼ねなく乗れるね!」

今日来た遊園地は最近大規模なリニューアルをしたばかりだった。

乗り物のほとんどが目新しく、歩いているだけで非日常な世界を味わえるみたい。

「じゃあ、目につくやつで面白そうなものを乗ってみよ!」

「おう!」

ふたりきりの初デート。
正直緊張して、何を話したらいいんだろうかと考えていた。

だけど、こんなにも楽しいことが溢れている遊園地に着いたら、その緊張もどこかに飛んでいったみたいだ。

アトラクションの待ち時間で、その次に乗るものを考えたり、ゲームの話をしたり。

ヤマトといると、楽しい。

男の子とこんな風に思いっきり遊ぶなんてこと、経験したことがなかった。

ジェットコースターに乗ってテンションを上げたあとは、コーヒーカップに乗った。

ヤマトが面白がってカップをぐるぐる回すんだけど、なぜか私は平気だった。

他のお客さんからは変わった目で見られていたかもしれないけど、私達はどうも乗り物に強いらしい。

絶叫系の乗り物にたくさん乗っていると、すぐに昼になってしまった。
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