6月の雪 ―Special Snowflake―

「今日は遅刻しないで学校行きなさいよ。それにこの間のテスト、クラスで1番じゃなかったそうね。ちゃんと勉強してるの? クラス委員長なのに遅刻が多くて成績も悪いなんて恥ずかしいわよ。そろそろ大学受験のことも考えないといけないんだから、しっかりしてよね」

「……」

「片親だから躾が出来てないとか、成績が悪いなんて言われないようにしてよ」

「……」

 またこのセリフ。
 イライラしている時のママは、いつもこのセリフを言う。まるで口癖。

「じゃあ行ってくるから。新菜も早く学校行ってよ」

「……」

「あと、この頭いい加減ちゃんとして」

 急に振り向き近づいてきたママは、私の長い髪をぐいっと引っ張った。

「ご近所から不良なんて言われたらたまらないわ。ママが頑張ってるのは新菜のためなんだから」

「……」

「……いいかげん返事しなさいよ。あんたちゃんと聞いてんの?」

 目を合せようとしないママ。再び振り向き放った言葉は、冷たい。
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