輝きのままで
どうしてそんなに嬉しそうに笑うのだろう?と思った時、シュウジは手帳のメモに住所、氏名、携帯、メールアドレスなど一通り書いて渡した。

「ピノコって、なんか今まで会った誰とも違うし、また会いたいと思ったからさ…。だけど、ナンパと思われたくはないから、ピノコの個人情報は敢えて聞かないよ」

ナチュラルに気遣い上手なんだな…と思い、バッグにそのメモをしまった。

電車がやって来たが、高尾まではたった一駅だ。

私が先に下車するとき、

「気を付けて帰りなよ?」

彼はそう言って、ドアが閉まったあとも、相変わらず眩しい笑顔で手を降っていた。

私も小さく手を降った。
< 12 / 59 >

この作品をシェア

pagetop