義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~
突然の告白にはしかるべく対処を

 一月の第二日曜日。成人式が行われる今日は、あちこちで着物やスーツ姿の新成人を見かける。

 私も桜や牡丹が描かれた、爽やかな水浅葱色の振袖を着付けている。長い髪は編み込んでアップにし、可愛い髪飾りもつけてもらって、平凡な顔の私もそれなりに華やかになっていると思う。

 ところが、会場近くで待ち合わせていた小夏と会った途端、彼女は紅いルージュがよく似合う唇を引きつらせた。


「ちょっと六花、成人式だっていうのになんでゾンビみたいな顔してんの」


 どうやら私はひどい顔をしているらしい。先ほどの写真撮影だけじゃなく、このところずっと無理やり笑顔を作って明るく振る舞っていたから、その反動で今はげっそりしている。

 原因はもちろん、聖さんに特別な人がいると知ってしまったせいだ。落ち込んでいたらこの恋心がバレてしまうかもしれないので、必死に平静を取り繕っている。

 今日も聖さんは着飾った私を見るなり、とろけるような笑みを浮かべて『誰よりも綺麗だ』と言い、たくさん写真を撮っていた。フラッシュが苦手な私のために、写真スタジオに行くのではなく彼がカメラマンを務めてくれたのだ。

 この会場と家との行き来をするため、快く運転手まで務めてくれている。

 そんなふうに甘やかされたら余計に落ち込んでしまうと、彼は気づいていない。
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