角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「あのっ……せんぱ、い……っ」


私の中の赤色のランプが慌ただしく点滅する。


もう、ダメだ……。
あまりの距離に思わず目を閉じる。


けど、想像していたものはこなくて。


「もしかして瑠衣、期待した?」


耳元で囁く、甘い声。


「……へっ?」


パチッと目を開けると、先輩は私の耳元に顔を寄せて。


「期待してたとこ悪いけど、俺のこと好きにならないとキスしてあげないよ」


そんなことを言った。


先輩のことを好きにならないとキスしてあげない……?


「なっ…なに、言ってるんですか…!」

「なにって瑠衣が期待してたみたいだから?」

「期待…してませんっ」


だってキスは、特別なものだって知っている。

前に少女漫画で読んだことがある。

好きな人としかキスしちゃいけないって。自分がほんとにしたいと思ったときにするんだって。


「へえ、それは残念だな」


クスッと笑ったあと、


「俺は今すぐにでも瑠衣の唇、塞いでしまいたかったけど」


私の唇を親指で、つつーっとなぞるから、ゾクゾクっとしてしまう。
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