オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 医務室に着いた響は、小さめのノックをしそっと扉を開ける。中には、先程の女医さんの姿。

「あら。早かったわね」

「はい。早めに連れて帰ろうと思いまして」

「そう。あれから全く起きないの。痛みも収まっていると思うわ。かなりストレスを溜めていたんじゃないかしら…」

「そうですか。病院は明日でも大丈夫ですかね?」

「ええ。大丈夫よ。本当はこのままゆっくり寝かせてあげたいんだけど」

「俺がこのまま彼女を連れ帰ります」

「え?」

「大丈夫です。お兄さんの許可はもらいましたので」

「わかったわ。起こしましょうか?」

「いえ。このまま抱いて帰りますので、扉だけ開けてもらえますか?」

「本気?」

「もちろん。うち、向かいのマンションなんです」

「それでも、寝ている大人を抱えるのは大変よ?」

「普段から鍛えてますので」

「そう。ならいいけど…もし、また痛むことがあったら明日まで待たずに病院に行きなさいね」

「はい」

 柚を起こさないように小声で交わされる会話。女医は悟った。響の気持ちを…





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