協道結婚
【5】曰くの初夜
台所で夕飯の支度をする静華。

「チン!」…「チン♪」…「またチン♫」…
レンジの音が鳴り止まない。

あっと言う間に、テーブル一杯の食品が並ぶ。

「さあ!食べましょうか」

「凄いご馳走だね!食べ切れるかな〜♪」

無理である。

「だ〜れのせいよ、全く。フードファイターですか?、誠は」

すかさずスマホを取る誠。

「ググらなくていいのっ!」

置きかけたスマホに再トライ。

「それが、「ググ」って言うのよ!」

一般常識が通じない御曹司様。
とりあえず、食べ始める。

「美味しい!静華って料理が上手だね♪」

(つ…疲れるわ)
いちいちキレてたらキリがない。そこは静華。

「でしょう⤴️ いい奥さんになると思うんだけどなぁ〜💞」

露骨にアピール。
利用できるものならネコの手でも借りる。

「やっぱり、これも流水流…」

「んなわけあるかぁー❗️」 やっぱりキレた。

でも、こんなやりとりが楽しい。
純粋無垢な誠を、心から愛おしく想う静華。

あとは、柔術の話やお互いの思い出話なんかをしながら、幸せな夫婦?の夕食(ゆうげ)の時を過ごした。

静華は、あえてこの家のことは話題にしなかった。と言うより、したくなかったのである。

夕飯の片付けを始める。
まぁ…行き着くところ、半分以上が冷蔵庫行きであるのは言うまでもない。

誠は先にシャワー浴びている。

妄想領域の誘惑に耐える静華であった。
と、その時である。

まだテーブルにあった皿が…揺れた。

(地震?)

その音に身構える。
が、違う。

揺れている皿は一つだけ。

背中に「ゾクっ!」と恐怖を感じた。
(まさか)

皿の揺れが激しさを増し、ついには落ちた!

「ガチャーん!」「キャー!」

「静華!!」

慌てて誠が飛び出してくる。

「キャーぁ♐️」

咄嗟に顔を両手で覆う。
が…指の隙間からシッカリと見ていた🙈。

そんなこと知ってか知らずか。
泡だらけの頭で、しゃがんだ静華の肩を持つ。

「どうした!静華!何があった?」

指の隙間から目の前に🍄……🈲💦

チ〜ん。
静華昇天✨🌈✨


(あ、誠。そんなこと…ダメよ…あっ)

誠の顔が近づいたところで、目が覚めた。
どうやらソファーの上らしい。

すぐ目の前に誠の綺麗な顔があった。
(ゆ…夢じゃなかったの?)

「大丈夫ですか?静華」

その心配そうな顔に我に還る。
と同時に見事な赤面。

「顔が赤い。熱でもあるのかな?」

誠がそのままオデコを重ねる。
小さい頃、母親がしてくれた仕草である。

超至近距離で、目と目が合う。

「まこと」

静華はスッと瞼を閉じ、唇を上げる。

あと数mm。

「大丈夫ですね。良かった〜」

(えっ?)

誠が離れる。

「急に意識失うし、私は頭泡だらけだし、大変でしたよ。でも無事で本当に良かった」

(えぇ〜っ!?)

「あとは、私が片付けますから、静華もお風呂でもどうぞ」

何事もなかった様に片付け始める。

「モウっ!」 牛か!

最近は返事まで変わっているのかな?
後でググって見ようと思う誠であった。
少なくとも、「ググ」は覚えた。


(誠って、私のことどう思ってるんだろぅ)

それを考えると不安になる。
シャワーを浴びながら、そんなことやあんなこと。あ〜んなこと💕まで考えていた。

どこが不安なのやら。

シャワーを止め、バスタオルを巻く。

洗面台の前にある鏡の扉を開き、歯ブラシセットを取り出す。

(ふぅ〜)

と、扉を閉めた静華が恐怖に固まる。

「ギャー❗️❗️」

鏡には、背後に立つ青白い顔が映っていた。
お決まりのパターンではあるが…怖い!

(またか?)

と一瞬思ったが、尋常じゃない叫びに慌てる。

「し、静華っ!」

「ダダダダっ!」
静華が「何か」から逃げる様に駆けてきた。

バスタオルが床に落ちる。

「わっ❣️」…🈲 (誠)

全裸で誠に飛びつく静華。

「ダンッ!」
勢いですぐ後ろの壁にぶつかる。


チ〜ん♪
誠…昇天✨🌈✨

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