絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「考えてもみろ。旦那様が警邏にした証言は『物置小屋の扉を開けると、白銀の髪と紫の目をした月の化身のような十四、五歳の少女が裸で奥の壁にもたれかかっていた。声をかけたが、途中で一瞬の隙をつくように、少女は制止を振り切って消えてしまった』とこうだ。常識で考えてあり得んだろう。いくら暗がりの中とはいえ、熊やイノシシとて素手で捕らえられる旦那様だぞ。その制止を少女が振り切って逃げるなど不可能に近い。なにより、海を挟んだ遠い異国のことはわからんが、この大陸にそんな色を持つ人間などおらん。いるとすれば――」
 ん?
 朗々と持論を語っていた家令のおじいちゃんが、ここでチラリとわたしに視線を向けた。
「そう、そんな毛色と瞳の色を持つのはルーナくらいだ」
 ギクッ!
 年の功というやつだろうか。以前から思っていたが、サンタクロースみたいなおひげをしたこの家令のおじいちゃん、地味に鋭いのだ。
「では、旦那様はネコのルーナを少女と見間違えたというの!?」
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